「天使の跳躍」 中年棋士が若き絶対王者に挑む
七月隆文「天使の跳躍」を読みました。
主人公は田中一義八段。
我慢流といわれる中年棋士46歳。
今までタイトル戦に5度登場したがいずれも獲得ならず。
俺はタイトルを獲得できずに終わってしまうのかと諦めかけて
いたところ、聖王戦の挑戦者に。
対するは八冠を独占する番勝負不敗の若き絶対王者源八冠。
田中の家族、将棋を捨てた初恋の人、才能があったのにプロに
なれなかった友人、田中を応援する棋士仲間などを絡めて
描いて読ませます。
果たして、田中は初タイトル獲得がなるのか?
将棋ファンなら田中八段が誰をモデルにしているかは
一目瞭然でしょう。
千駄ヶ谷の受け師 木村一基九段です。
タイトル戦の舞台となる宿もこれはあそこだなと
すぐわかります。
ただ、将棋ファンでなくても、将棋を知らなくても
十分に楽しめる内容になっています。
お勧めです。
著者の七月隆文氏の過去の作品
「僕は明日、昨日の君とデートする」(宝島社文庫)
も読んだことがあります。
奇想天外な設定ながら、切ない恋に涙しました。