苦界 読めます? 日本語はムダに難しい

先日、読んでいた雑誌に
「苦界で生きる人々の心を照らした法然の魅力に迫る」
という一節がありました。
「苦界」というのは普通は遊女の世界のことですが
文脈からするともっと広い意味のようです。
「くかい」で辞書を引いてみました。
ところがそれでは「苦界」という言葉が出てこないのです。
「苦界 読み方」とパソコンで検索して
苦界の読み方は「くがい」であると知りました。
大辞林によると意味は
①苦しみや悩みの多い世界、すなわち人間世界
②遊女のつらい境遇。遊女の世界
ということでした。
この現実の世界も「苦界」なんですね。
界を「がい」と読むなんてほかにあるかな?
と考えました。
仏教用語だと三千世界も「さんぜんせかい」だし
色界、欲界も「しきかい」、「よくかい」です。
いろいろ探したらありました。
「女三界に家なし」
「おんなさんがいにいえなし」です。
三界というのは仏教でいう欲界、色界。無色界の
全世界のこと。
「女は三従といって、幼い時は親に従い、嫁に行っては夫に従い、
老いては子に従わなければならないとされるから
一生の間、広い世界のどこにも安住の場所がない」
と大辞林には載っていました。
女性からは抗議の声が寄せらせそうな慣用句です。
藤四郎はこれも「さんかい」と読んでいました。
日本語はつくづく難しい。